犬山祭保存会
会長あいさつ
『神々の饗宴』
犬山祭の白眉はからくり人形だろう。
それは神々の饗宴と呼ぶにふさわしい。
13台の車山に3体から4体のからくり人形があるから全部で40体以上のからくり人形が桜花爛漫のなか春風駘蕩の精気に触れ、祭囃子に乗って生命を蘇らす。からくり人形たちが神々に返信する瞬間だ。
古事記に登場する日本古来の神、遠くシルクロードを経てやってきたインド・中東の神、中国の皇帝や仙人、アニミズム信仰からくる動物神などなど八百万の神々が車山の上から針綱神社に向かって舞う神事が犬山祭りのハイライトである。
毎年犬山祭になると、世界中の神と文化を受け入れた日本という国の、多神教の豊饒性に驚く。
鎮守の社である針綱神社は10柱のご祭神が祭られているが、私はこの中で尾治針名根連命が筆頭ご祭神だと考えている。
そしてこの神様は、針綱神社の東北2キロにある東の宮古墳に埋葬されている人物(3世紀ころに存在したニワの国の大王)と同一だと推測する。このイマジネーションは、ふるさとの祭りに神話を手繰り寄せ、祭りの舞台に先祖神が下りてくる。
犬山祭とこれに参加する人々は祭礼日には興奮しカオス(混沌)となるが、神々に導かれ知らぬ間にコスモス(秩序)が生じる。
カオスモス(混沌と秩序)、この不思議なバランスが犬山祭の魔力かと思う。
一般社団法人 犬山祭保存会会長
石田 芳弘
設立趣旨
犬山祭の執行にあたっては寛永12年(1635年)以来、針綱神社の氏子総代により相談されてきましたが、祭礼の実行だけではなく保存活動を効率的に行うには保存会組織が必要との認識のもと昭和48年(1973年)、犬山祭保存会が発足し結成された。その基本構成は車山の持ちの13町内と練り物3町内の全16町内の代表者から成る理事会と、役員から成る常任理事会、伝統文化委員会、てこ委員会、企画広報委員会、からくり文化振興部、事務局で構成されている。平成29年(2017年)より一般社団法人として活動を実施。
活動方針
「犬山祭を通じて地域コミュニティをつなぐ・ひきつぐ・ささえる」
寛永12年(1635年)から続く歴史と伝統を有し、国の重要無形民俗文化財指定及びユネスコ無形文化遺産をうけた犬山祭を、各団体との協力のもとに執行し、市民、来訪者に深い感動を与え、郷土の誇りにふさわしい祭礼とするよう更なる努力をするとともに、犬山祭を通じて未来を担う児童・青少年の伝統文化伝承の教育活動、更にコミュニティ形式に寄与するよう活動する。